リムスキー=コルサコフの**交響組曲「アンタール」作品9**(通称「交響曲第2番」)は、彼の初期作品の一つであり、オリエンタルな音楽スタイルとロシア音楽の伝統を融合させた代表作の一つです。この作品は、詩的で物語性の強い内容を持つ交響組曲であり、当初は交響曲として分類されましたが、後にリムスキー=コルサコフ自身が「交響組曲」として改訂しています。
### 作曲の背景
リムスキー=コルサコフがこの作品を作曲したのは1868年から1869年にかけてのことで、彼がまだ若い音楽家として成長しつつあった時期です。当時、彼はミハイル・グリンカやバラキレフなどとともにロシア音楽を発展させようとする「ロシア5人組」の一員として活動していました。彼らは、ロシア民族の音楽的アイデンティティを模索し、異国的な題材を取り入れた作品を数多く生み出しました。「アンタール」はその潮流の中で生まれた作品の一つです。
この作品のタイトルとなっている「アンタール(Antar)」は、アラビアの英雄詩に登場する実在の詩人で戦士であるアンタラ・イブン・シャッダード(Antara ibn Shaddad)に基づいています。アンタールは、アラブ文学における英雄的な人物であり、彼の冒険や愛の物語が広く知られています。リムスキー=コルサコフは、この伝説的な人物にインスパイアされ、彼の音楽にオリエンタルな響きを加えました。
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